ファイナンシャル・プランナーの今

  • 2017.09.22 Friday
  • 10:53

年に何度か、継続教育研修などで「FPの現状」についてお話させていただく機会があります。日本FP協会に登録しているFP資格者AFP、CFPの方々の現状、協会の活動状況などを知っていただき、それぞれの今後にお役立ていただければと思い、状況分析などをご紹介しています。今回はその中から、FP協会資格会員の現状を見てみたいと思います。
今や、あらゆる分野の方々がFPの資格を取得しています。日本FP協会の資料によると、昨年12月時点の会員数は約19万44千人で、そのうちAFP資格者が15万4千人強、CFP資格者が約2万人、一般会員が1万8千人強となっています。
AFP、CFPの資格者を業種別に分類すると、独立系が約1割で10.99%(FP専業0.86%・保険代理店・士業等)、企業系は約7割の72.56%(銀行9.48%・証券15.88%・生損保17.84%・JA等5.19%・その他の企業)となっています。このほか生活系(主婦2.58%・生協等0.37%・その他)や資格系(学生・その他)のFPもいます。これらに加え、FP技能士(金財)のみの資格者(1.2.3級資格者)が30万人以上います。

 

圧倒的多数の企業系FP
まず、日本FP協会会員の約73%(約12万8千人)と、最も多数を占める企業系FP(主に金融庁管轄の企業内)の現状について見てみましょう。
企業のFP導入の目的は、ワンストップショップ化(売上げの多角化)による自社商品の販売の推進にあり、サービスの一環としてFP手法が導入されています。日本FP協会が実施した金融機関への調査資料「地域金融機関における FP資格活用度調査 結果報告書 〜平成26年10月 調査結果の概要〜」の中で次のように述べられています。

・ FP資格取得の必要性や利点としては、「顧客対応力の向上や営業職従業員のスキルアップのため」(89%)が最も高い。次いで「貴法人内の自己啓発の一環として取り組むことができる」(57%)と「顧客の信頼感が高まる」(51%)が50%台で続いている。 …
・ 回答法人の約3割がFP資格保有者を活用した顧客サービスに積極的に取り組んでいる。その際に重要な点として、「顧客への提案能力」(85%)や「顧客とのコミュニケーション能力」(49%)が重要視されている。…
・ 法人内におけるFP業務の位置づけをみると、「主要業務の付加的サービス」(46%)が半数近くを占め、「主要業務として期待されている」(19%)も約2割あり、FP業務が主要業務やその一部に位置づけられていることがうかがえる。…

このように金融機関系企業では、社員に必携資格としてFP資格取得を義務づける企業が増えています。AFP、CFPのFP知識によって、社員の提案能力や総合的なレベル向上を図ることを目的として活用されています。
次に、実際の相談分野については以下のとおりです。

・ 実際の相談分野は、顧客から相談が多いFP業務分野は「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」が68%で最も高く、以下、「相続・事業承継」(55%)、「金融資産運用」(52%)、「タックスプランニング」(30%)、「リスクマネジメント」(26%)、「不動産運用」(17%)の順である。 顧客ニーズに応えるために、今後最も注力していきたいFP業務分野も「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」が最も高く(43%)、次いで「相続・事業承継」(32%)、「金融資産運用」(17%)の順となっている。業態別にみると、地方銀行では「相続・事業承継」(61%)、証券会社では「金融資産運用」(58%)が今後最も注力したい分野として高い割合である。

これを見て言えるのは、「企業系FPはFP力を有効活用している」ということです。
営業・商品販売等の担当者は、最初の名刺交換の段階からFP資格を全面に出してアピールし営業に活用しています。また、それ以外の社員も一人一人がFP力によってレベルアップすることで会社全体の総合力アップに貢献しているということです。最近ではCFP資格保有者が支店長や役職に就くケースも増加しているようです。

 

独立系FPの現状について
一方、独立系FPを見てみると、FP専業者は資格者全体の0.86%で1,504人と少数です。このFP専業者の中からFP教育関係者を除くと1,100人以下と推定されます。FP専業者はまだまだ少数派、事業として成り立っている人は300名前後といったところでしょうか?

 

独立系FP事務所の会社規模や収入の傾向
独立系FPは、個人事業主や小規模会社、合同事務所がほとんどで、社員を雇用しているところは少ないのが現状です。これは、独立系FPの場合、継続的・安定的な収入(売上げ)が少ないことを意味します。そして、個々のFP力により独立系FPの収入に大きく差がでることも要因のひとつです。
独立系FPの収入としては、FP本来の相談料やプランニングフィーによる収入、生損保・金融商品仲介業・その他FPプランニングに必要な商品の紹介や斡旋手数料などのコミッション収入、FP講師や講演料による収入、執筆などによる収入があります。
この中で一番多いのはコミッション収入で、FP本来の相談やプランニングフィー業務による収入で成り立っているところは少ないのが現状です。なかでも、講師業や執筆業は個人差が大きく収入にも格差があり、この分野の収益が全くない方が多いことも事実です。また、少額ですが年会費制度を導入して顧客を獲得するFPも出てきました。家計相談・生活設計・保障の見直しなどわかりやすい相談内容に特化したFPや、ライフプランを基軸にしているFPが成り立っています。
著名なFPの主な収入源は、一般向け、FP資格者向けセミナーの講師料などで、具体的には企業や団体など紹介・斡旋相談・セミナー講師(企業派遣)、 日本FP協会関連の公的機関等のFP相談業務、セミナー講師等の報酬です。なかには企業の商品販促のための営業専属FPとし販売コミッションを得ているFPもいます。

 

経営状況・業績について
経営状況・業績の状況については、日本FP協会の調査資料で昨年公開された「ファイナンシャル・プランナーのビジネス事例ヒアリング調査【第2回】結果報告書(平成28年3月)」があります。この資料は全国でわずか20名のFPによるサンプルデータで、統計のサンプル量としてはかなり少ないと言えますが、FPとして事業収益を上げて行くための参考になります。以下一部抜粋してご紹介しますが、日本FP協会のマイページで閲覧できますので、是非一度ご覧になってみてください。

『収入内訳は相談料、講演料、執筆料、コミッション収入の4つに大別される。相談業務を行っていないFPやコミッション収入のないFPもいた。コミッション収入のないFPの場合、講演料が大きな収入となるケースが目立った。FP業務以外で収入を得ているFPの割合は決して多くない。Wライセンスの保有者で、FP業務を活動の柱としていないケースでは、不動産運用、投資助言・代理業における投資アドバイスといった業務が主な収入源となっていた。
収支のバランスについては、多くのFPが“収支バランスはとれている”、“収支トントン”と回答している。収入をもっと増やしたいとするFPもいるが、多数のFPが“安定している現状”を維持したいと考えていた。ネットワークの構築、維持・拡大や情報収集のための交際費、交通費は必要な経費とするFPもおり、収支のバランスを図るための“苦労”には差が見られた。
現状評価を聞いたところ、増収傾向にあるという回答や業務は軌道に乗っているという回答が目立った。現状を容認、満足しているFPがいる一方で「自らの目標達成は道半ば」とさらなる上を目指すFPもいれば、「これまで順調だったが、上を目指すためにはマンパワーの限界を感じている」や「業務には誇りを感じているが、収入面に不満を感じている」というFPもいた。
FP業務を維持、発展するための仕組みづくりに関しては、日々の業務に真摯に取り組むことを前提として、「後進の育成は業界の維持・発展に欠かせない」とする提案を始め、「若いFPを雇用できる組織づくり」、「後進に活躍の機会を与えたい」や、「人前で話す力を高めることをテーマとする研修会の充実」など様々な意見や提案があった。「FPの存在・業務」を周知させることの重要性を感じているFPも少なくなかった。大企業や出版社とのコラボなど新しいマーケティング手法の開発や、小・中学生を対象に“お金の教育”をすることなど「FPが必要とされる社会」を構築するための先行投資は不可欠とする声も複数あった。ネットを利用した業務の広報活動として、動画をホームページにアップすることで文章とは一味違うインパクトを与えることに成功したという事例も見られた。ニーズの掘り起こしに欠かせないのが、FP間や他士業間との緊密なネットワークの構築。地域間の情報格差解消や、地域間の料金に対する考え方に配慮した仕組みづくりなど、地域間関係を重要なポイントととらえるFPもいた。今後のFPの在り方として、アメリカのFPに見られる投資顧問業を中心とするビジネスモデルを視野に入れなくてはならないという意見もあった。』

 

最近はFP協会の広告や、災害地域の無料相談等によって、FP相談の有用性・信頼性など社会への認知が拡大されています。日本FP協会のCFP紹介サイトから独立系FPへの有料相談も増加傾向にあります。
FPの相談の有用性が公的機関等に認められ、FP協会を窓口にして、広がりつつあります。これらはもちろん有料相談で公的機関等から費用が支払われています。以下にいくつか例を挙げてみます。

○ パーソナルファイナンス教育インストラクター制度
パーソナルファイナンス教育(金銭経済教育)の推進のため、高等学校等からの要請に基づき、高等学校等にCFP®認定者等を講師として派遣。
○ 金融コンシェルジュ(金融庁)
金融庁の官民ラウンドテーブル・作業部会「高齢化社会と金融サービス」の報告書に基づき、医療、介護サービス利用者が抱えるお金に関する悩みを中立的な立場から相談に乗るため、CFP®認定者等を病院等医療施設に派遣する制度。
○ 公益社団法人全国有料老人ホーム協会の介護施設入居希望者向けイベントに派遣(東京・大阪開催の同イベントに派遣)。
○ 生活困窮者自立支援法(厚生労働省)
厚生労働省所管の生活困窮者自立支援法に基づく家計相談事業への相談員派遣。市町村数はまだ一桁?
○ 修学支援アドバイザー(文部科学省)
文部科学省が、平成27年度から生活保護世帯など経済的に厳しい世帯の専門学校生に対して、授業料の補助や生活設計等のセミナーや相談を行う「修学支援制度」を開始、都道府県単位で実施。平成27年7月からセミナーや相談会にパーソナルファイナンス教育インストラクターや支部役員等を派遣。12都道府県以上。
○ 土曜学習応援団(文部科学省)
学校等が行う土曜授業等に出前授業の講師として参加する「土曜学習応援団」に登録し、パーソナルファイナンス教育インストラクターの派遣等に協力。
○ 住み替え相談事業・・中古住宅活性化のための専門家育成(国土交通省)
国土交通省による中古住宅の活性化のための、FPを想定した資金計画等のアドバイスができる専門家の相談事業を公募(28年度・法人6社指定)。
〇「スカラシップ・アドバイザー(仮称)制度」奨学金制度の利用等の説明
(政府)将来の返済計画の相談に応じつつ、新制度の周知徹底を図る。 FPの派遣規模は、全国で2,500〜3,000人を想定。国の奨学金を運営する独立行政法人・日本学生支援機構から事前に奨学金制度についての研修などを受け、必要に応じて高校などを訪問する。派遣後に同機構から謝金が支払われる。新聞報道・まだ未定?


企業系FP中心の現状ではありますが、ここに来て、独立系FPが事業として成り立つ環境へと少しずつ好転しているようです。
独立系FPに分類されてはいますが、FPと兼業の保険代理店、士業事務所(税務会計事務所・司法書士・行政書士・弁護士・社労士)等のダブルライセンス者は、10.13%で17,781人です。士業専門分野とFP知識の総合力で相談能力が向上し、顧客層の拡大に役立っています。既存の顧客に対しても、新たにFP相談業務をはたらきかけることで、収益アップにつながっています。
また、自分の専門分野を生かしたFP関連のセミナーや執筆などの道を開拓した方も多く、本業の補助事業として成功している方も多数いらっしゃいます。


前述のように生活系のFP資格者は1万8千人いますが、日常生活でFP知識を役立てている方や将来FPとして独立を目指す潜在FPも相当数います。例えば、生協のライフプランアドバイサーとして活躍したり、退職者がボランティア的にFP活動をしたりしています。資格FPの中でも学生はやはり就職に役立てており、FPを学んだことで金融関係を将来の仕事として選択する方も増えています。将来の目標を持ち、生活設計やお金の知識などを身につけたうえで社会に出ることで、明るい人生の一歩を踏み出すことができます。

 

このように、FP業務(相談・コンサル・プランニング)の必要性、信頼性が認知され広がってきており、5年前とは明らかに状況が変わっています。顧客獲得については、まだまだ色々営業手法を工夫してチャレンジする必要はありますが、FP相談やプランニングで事業が成り立つ時期が近づいています。
もちろん今まで通りコミッション収入主体でも良いのです。顧客のライフプランに沿った商品やサービスはどこで手に入れようが、顧客にとって必要なものです。FP自身が直接商品を販売、斡旋することは顧客の安心にもつながり、また、ライフプランを基軸に置けば、FPのどの分野の相談にでも対応することが可能です。
有料でも無料でも機会があれば、FP相談にチャレンジしてみましょう。
土 屋 拝❚

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